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ハラスメント対策は党内喫緊の課題

本年4月、日本維新の会所属の明石市議・森かつこ氏が松井一郎代表のTwitterコメント欄に「パワハラを受けている」旨を訴えたことを受け、党内では藤田文武幹事長をヘッドとして梅村聡参議院議員および社労士の3名による調査チームが設けられた。関係者への聞き取り調査などを経て出された報告書には“パワハラはなかった”と結論付けられ、疑いをかけられた国会議員は処分無しとなった。報告書は公開され誰でも読むことができるが、今回の党のハラスメント対策について孕む問題について以下の通り考察する。

《維新の国会議員からパワハラを受け、困っております。(中略)国会議員「A氏」(日本維新の会 兵庫10区)から、この度の参議院選挙の日本維新の会全国比例候補予定者「B氏」の選挙応援をするようにと命じられ、言う事を聞かないと日本維新の会の議員としてはこれでおしまいの旨、公認権を脅迫の手段として振りかざし、そして、弱みを利用して、思い通りに組織の命令と称し強要するパワハラを受けました》

森氏が松井代表のTwitter投稿に残した上記のコメントを読めばわかるように、森氏の主な訴えは参議院議員選挙における比例代表候補の応援の仕方に関して圧力を受けたというものである。森氏は日頃から親交のある女性候補を応援したいと思っていたがB氏を応援するよう国会議員のA氏から強要されたとのことである。

ここで重要なのは「比例代表候補の応援方法」についてだ。日本維新の会では従来、全国比例候補については「どの議員が誰を応援するかはその議員の自由裁量である」というスタンスであった。しかし、2019年の参議院議員選挙においては東京都選挙区のおときた駿氏と東京を地盤とする比例代表候補のやながせ裕文氏がペア戦略を展開。多くの東京維新の会所属議員が精力的にこの戦略を後押ししたこともあり、見事に両者の当選を勝ち取っている。(なお、東京を拠点とする二人の国会議員を誕生させた点において、このペア戦略は奏功したとされている一方、東京が言わずもがな日本一の人口を有する魅力的なエリアであることを鑑みれば他の比例代表候補がこのペア戦略を公平性の観点からどのように見ていたかについてヒアリングが必要であると考える)このペア戦略の成功等を受けてか、2022年の参議院議員選挙では従来党内で浸透していた「どの議員が誰を応援するかはその議員の自由裁量である」という応援方針に転換があった。党として“総支部が特定の候補を応援すると決定した際は所属議員全員がその方針に従うことを是とする“というものである。しかし、この新方針は未だ党内でも十分に浸透しているとはいえず、党内議員によっては認識の違いがみられるのが実情である。

今回の森氏の問題は、旧方針の認識であった森氏と新方針の認識であった国家意義委員A氏のすれ違いによって生じたものであるとも考えられ、旧方針の認識であった森氏からすれば、国会議員と地方議員という上下関係を利用したパワハラにあたるという主張は十分に理解に値するものである。一方、国会議員のA氏についても長年党内に在籍する議員であるため旧来方針は承知しているはずであり、この旧方針から新方針の転換についての説明がなされたか否かについては今回の調査において重視されるべき点であると同時に、党もその方針転換に関して所属議員に十分な周知徹底の努力がなされたかを確認しなければならないが、その点を十分に議論された形跡はみられず、調査報告書の後段に「なお、党所属議員が参院選における全国比例候補の誰を応援するかは一定の自由裁量担保されている」と若干の記載が補足的にあるのみである。

そして、比例候補者の応援方針の認識の差異についての検証がないまま、報告書で繰り返し登場するのが「森氏は県議会議員に挑戦したがっていた」という論点である。報告書全体を通して受ける印象は「市議会から県議会に活躍の場を移したいが周囲からの評価を得られず逆恨みしている議員」と「それをなだめる国会議員」とも受け取られかねず、本来の森氏の主たる訴えとは異なる論点に光が当たっているようにも思える。事実、調査においてヒアリングを受けた私にも幹事長から「森氏は県議会に挑戦したがっていたか」という質問を受け、記憶は定かではないがその質問を受けて「”挑戦したいという思いはあったやに聞いている“」と答えたように思う。本旨とは少しずれた質問であるとは感じたもの、スムーズな調査のために必要な質問なのであろうと聞かれるまま素直に答えた。

いずれにしても維新の議員として「この先無いで」等の発言は旧来方針の応援を想定していた森氏からすれば、国会議員と地方議員という優越的な関係を背景とした業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者(に相当する者)の就業環境が害されたとの主張は成立しうるものと考える。

しかし、同じくA氏においてもまた忙しい日常の中で森氏の相談に時間を割き新方針の認識に立って党勢拡大のための説得を悪気なく行った点は留意しなければならない。

個人的には今回の事案において森氏とA氏の間に軋轢が生じた責任の一端は比例代表候補の応援の仕方についての党の方針が十分に周知徹底されなかった点にもあるとも考えており、その上で、国会議員も地方議員も横並びという理念が事実上徹底されているとは言い難い現状の我が党において「この先無いで」等の発言は森氏に恐怖心を抱かせる可能性があること、また現状として森氏が著しい体調不良をきたしていることに鑑み、国会議員A氏に対しては厳重注意ないしは党員停止1〜2ヶ月の処分が下されたとしても不思議はないと考えるところである。

また、今回の調査チームの報告書が党公式SNS等を通して世に公開されたという点にも大いに問題があると考える。
精神的なダメージを受けている当事者にとって、このような形で「パワハラはなかった」と世に周知されることは屈辱となり更に精神的な打撃を与えることになりかねない。場合によっては訴えた側を自死へ追い込む可能性さえ孕んでおり、国内の企業団体においてこのような対応を取っている事例は類を見ない。加えてこのように「世にさらされる」という前例が発生したことは、今後党内にハラスメント窓口が設置されたとしても被害相談の抑止効果さえ生じせしむ恐れがあり、調査結果の扱いについては留意しなければならない。

令和3年6月の候補者男女均等法の改正により、自治体や政党がハラスメント対策を講ずることが義務化されたが、我が党は全員この法案の採決に当たり起立賛成している。改正法成立から1年以上経過してなおハラスメント対策がなされていない実情を鑑み、今日も悩みを抱える党内の仲間のためにも早期の対策を望むものである。

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お母さん目線の政治が必要です

かねてより政府主導で「女性活躍時代」が推進されているとはいえ、残念ながら女性の悩みに本当に寄り添っているとは思えません。 子どもたちを笑顔にするためには、お母さんたちが幸せになる社会を作らなければいけない。 子どもたちを育てることは、未来の日本を育てていくことと同じです。今こそお母さん目線の政治が必要だと考え、私は出馬を決めました。 政治家としてはまだまだ未熟な私ですが、公認してもらえた日本維新の会とともに、子育て支援や教育、女性活躍に関する改革の実現のため、邁進していきます。

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